「日本の国民病…それは糖尿病」
医療ジャーナリスト 長谷川淳一
糖尿病はひとたび発症すれば完全に治癒することはない。
糖尿病を放置すれば腎症や網膜症、神経障害、それに心筋梗塞や足の壊疽(えそ)など恐ろしい合併症を引き起こし、足の切断、腎不全による人工透析、失明などを招来することになる。
遺伝的に見ても日本人の体は、欧米人よりも栄養が乏しい生活状況でも耐えられるようになっている。
質素な食事を摂りながらも勤勉に働くというライフスタイルが、我々の体質にあっているのだ。しかし、戦後の高度成長期から現在まで、日本人の食生活はどんどん欧米化してきたうえに、交通手段の発展などによって消費エネルギーは減少してきた。
日本人が欧米人と同じ様な食生活をした場合、糖尿病の発症率は欧米人に比べて2~3倍高くなるとなるといわれている。
では現在の日本にはどれくらいの糖尿病患者がいるのだろうか?
不定期ではあるが厚労省は糖尿病患者の調査をおこなっているので、その調査報告書に基づいて日本の糖尿病患者の推移を見てみよう。
1980年代には糖尿病患者数は200万人と推定されていたのだが、その10年後である1990年代には2.5倍にまで増え500万人と推定された。
糖尿病の増加に危機感を持った厚労省(当時は厚生省)は1997年に大規模な糖尿病実態調査をはじめて実施、その結果、糖尿病患者数を690万人と発表(推定)し、日本社会に大きな衝撃を与えた。
2001年にも大規模な調査を実施した厚労省は糖尿病患者数を推定740万人と発表した(発表は2002年)。
ところが2006年の調査では、糖尿病の疑いが強い人は推計で820万人であると発表した。凄まじい増加率である。
血糖値が高めの「糖尿病予備群(境界線上の人)」まで含めるとなんと2,210万人にのぼると言われている。なんと成人人口の2割に当たるという。
予備群を除いて、確実な糖尿病患者数だけをみても深刻な状態だといえる。
40代でも10%以上は糖尿病なのだが、50歳以上になると一気に25%に上昇する。50歳以上の日本人の4人に一人は糖尿病なのだ。これが日本における糖尿病の現実である。
日本の糖尿病患者数は2010年には1,080万人になると予測されている。(健康日本21計画策定検討会報告書)
残念ながらこの予測は的中することだろう。
中高年の約3人に一人が糖尿病という社会、それは10年や20年先の話ではなく目の前に迫っている。
"糖尿病は日本の「国民病」"
政府も国民もきっちり意識して対策を講じなければ、日本は糖尿病に蝕まれて滅ぶことになりかねない。
私は個人的に、決して大げさなことを入っているつもりはない。
(つづく)
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