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トップ  >  糖尿病で日本は滅びる  >  5.医者にも殺されてきた患者たち


「医者にも殺されてきた患者たち」
医療ジャーナリスト 長谷川淳一

糖尿病についての記述は(糖尿病“らしき”記述まで含めると)紀元前1500年頃、今からおよそ3500年前、エジプトやインドの文献に見られる。エジプトでは「多量の尿を出す病気」、インドでは「蜜のように甘い尿」という記述だ。

人類は3000年以上の長きにわたって糖尿病という「体を溶かす病気」に恐れおののいてきた。

血糖値の上昇には、膵臓のランゲルハンス島から分泌されるインスリンが関与している。血糖値とインスリンの関与が発見される1921年まで数多くの糖尿病患者が命を落としてきた。その中には医師の懸命な治療により延命した患者がいる反面、医師の「逆療法」によって命を落とした患者も多数いる。

古代エジプトでは、患者の尿から大量の糖が流失しているということから、その補充が必要だとして患者に糖質の多い食事を与えた。

西暦1世紀頃のギリシャ人医師・アレタエウスも消化の良い高炭水化物を与えて“治療”していた。

しかし現代の食事療法に近い治療を施していたとの記述も数多くある。特にこの分野ではインドや中国の医療が進んでいたようだ。糖尿病の原因を米や小麦など糖類の過剰摂取と考え、これらの摂取を制限した食事療法が取り入れられたという。しかしあまりにも極端な飢餓療法によって、患者にとっては耐え難い苦痛になりその成果は患者の命を数年間伸ばす程度に留まったといわれている。

1600年代、イギリス人医師・ウィリスは糖尿病患者の食欲を抑えるためになんとアヘンを処方していたという。

日本の医学界でも“トンデモ療法”が蔓延っていた。1921年頃の大学病院では糖尿病患者の腹部にレントゲンを大量照射するという“治療”が平然と行われていた。また毒物である亜砒酸(酸化ヒ素)を“治療薬”として処方していた医師もいたといわれている。

もちろん当時の医師たちに悪意はなく真剣に治療に取り組んだ末の判断だったのだが、患者さんにはたまったものではない。正直同情を禁じ得ない。

現代医療における糖尿病患者は安心してもよいのだろうか?
糖尿病を長く患っている患者の多くはいわば「糖尿病のプロ」である。ところが糖尿病に詳しくない医師や経験の浅い未熟な医師は、糖尿病患者を「アマチュア」と見下し患者の意見を無視して、一方的な診断や処方を決定することも少なくない。

昨今メタボ健診などにより、生活習慣病改善のための情報が豊富になったとはいえ、糖尿病のスペシャリストといわれる医者はまだ少ない。

取り返しのきかない合併症に襲われる前に、できれば日本糖尿病学会認定の専門医の診察を受けたいものだ。

(おわり)

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